『今と未来のリーダーを繋ぐ - Post Leaders Assembly - 』第2弾。女子サッカー編レポート。

5月31日に開催された、『今と未来のリーダーを繋ぐ - Post Leaders Assembly - 』第2弾、日本の女子サッカー界の方々がお話をしてくださるイベントに参加させてもらった。

若い子どもたちがいちばんの対象であると理解していたので、これは席を譲るべきと、しょげていたら、主催者の方が拾ってくださって、ご厚意で末席に入れていただいた。


当日の登壇者は、なでしこリーグ1部ノジマステラ神奈川相模原のキャプテン石田みなみ選手、元なでしこリーガーでゆかサルというサッカー・フットサル教室主催、メンタルコーチでもある吉野有香さん、自ら闘病・起業をしながら早稲田大学ア式蹴球部女子(女子サッカー部)監督に就いている福田あやさん。

まずは、現役選手、引退後に女子サッカー界で活躍している方、指導者。このお三方の人選が絶妙だった。


イベントの詳細についてのサイト及び開催前の解説ページを以下に引いておく。 登壇者の方々のプロフィールやこの日に話す予定だった内容などはこちらからご確認を。

【イベント】5月31日オンライン開催!第二弾『今と未来のリーダーを繋ぐ - Post Leaders Assembly - 』
https://www.yworks13.com/post/20200509

【イベント情報】第一弾 ゲストサッカー選手紹介「吉野 有香」/ 『今と未来のリーダーを繋ぐ - Post Leaders Assembly - 』
https://www.yworks13.com/post/pla-yukayoshino

【イベント情報】第二弾 ゲストサッカー選手紹介「石田 みなみ」/ 『今と未来のリーダーを繋ぐ - Post Leaders Assembly - 』
https://www.yworks13.com/post/pla-minamiishida

【イベント情報】第三弾 ゲスト紹介「福田 あや」/ 『今と未来のリーダーを繋ぐ - Post Leaders Assembly - 』
https://www.yworks13.com/post/pla-ayafukuda


ともかく、2時間あっという間の楽しい時間だったのだが、司会を担当された海老沼忍さんは、イベントの勢いがつくまではご自身で内容を咀嚼しながらエンジンを掛けてくださり、ノってきたら登壇者をうまくリレーさせてくださるなど、進行も素晴らしかった。


本題として、最初のテーマだった、お三方の「いちばん大切に考えていること」を拾っておこう。

石田選手は、選手としての「準備の大切さ」について=身体の用意の仕方について、控えめなストイックさで伝えてくださった。「いつも同じことをやることによって自分の体調が分かる。」

吉野さんは、引退後の立場で、現役のときに自分ができなかった側面を土台にしてこそ今があり、またそれは必然で、だからこそ伝えられることがあるということを、寛容な言葉で伝えてくださった。「人生は思い通りで、人生は自分次第。」

福田さんは、指導者の立場で、サッカーの魅力と性質について、そして自己管理の仕方について、具体的かつ客観的な言葉を使って伝えてくださった。「サッカーには人生が豊かになるものが全て詰まっている。」 


話していただいたことは、他にもたくさんメモさせていただいた。それらは、サッカーの周辺としての意味だけでなく、人としての私にとって、とても響く内容だった。

身体と心の使いよう、というのは、結局、人生のあらゆる局面で大切になってくる。 

石田選手の言葉を聞いて、自分の身体を一定の状態に常に持っていけるようにするための準備として、もっとしっかり身体に対する意図を持って、何か毎日やることを決めてみようと思った。

この日「定義おばさん」と自ら名乗っていた(笑)吉野さんの言葉を聞いて、特に自分が否定的に捉えがちな言葉(イベント内では具体的に「モチベーション」や「スランプ」といったもの)の定義を、自分の中で丁寧に問い直してみよう、そして、ちゃんと夢を持とう、自分にとってこれ以外ありえないと思える道を探そうと思った。

福田さんの、自分のベストパフォーマンスの地点を知ることと、努力曲線と成長曲線は一致しないという言葉を聞いて、それを理解した上で自分が目指す地点へ向かうことを意識しようと思った。
サッカーはそもそもミスの多いスポーツであるというところから展開して、「ミスをミスにしない」(自分のミス・相手のミスを含め)という、対応力や選択肢の豊かさを元にした考え方も素敵だった。

教えていただいたことはすべて、「自分を的確に知る」ための流儀であり、社会での生き様に投影できる考え方だ。


そのようにあらゆることに対応可能なお話が圧倒的だったのだが、この日、何より私に響いたのは、福田さんの仰る「サッカーは素晴らしい」、「サッカーには正解がないとよく言われるが、私はそうは思っていなくて、サッカーには正解がたくさんある」という言葉だった。
そのサッカーへの率直な肯定に、心打たれた。
その言葉には、個人的に、完全に同意する。

世界の共通言語と言えるサッカーには、ピッチ内外で起こることをひっくるめて、体感可能なことがたくさんある。そこには体感の数だけの正しさがきっと存在する。多くの人にとって、様々な観点で自分にとっての正しさを確認できる、そうした多様性を含みこんでいることができる、それがサッカーの素晴らしさなのではないかと思う。

司会の水泳界ご出身の海老沼さんも、お三方のお話からサッカーの良さに理解を示してくださっていたが、自分が今やっていることをこういう言葉で肯定的に語られること、そのことは、きっと今サッカーをやっている子どもたちにとって、素晴らしいものとして映っただろう。

最後の記念撮影を拝見するかぎり、若い子どもさんたちもたくさんいらしていて、まさにこのイベントの趣旨である「今までの経験や価値観を次世代を担う若者たちに伝える」有用な場になっていたと思う。


個人的に、この日の皆さんのお話を深堀り(「深堀り」はこの日、司会の海老沼さんが大切にされていた言葉だ)してみると、自分を知ってなおかつ自分を(自分の身体を)活用するのに大切なのは、自分の「現在地」と「可能性」、そしてそれを把握するための「主観性」と「客観性」なのだなと理解した。

この4つの要素の感覚及びバランスは、抽象的ではあるが、あらゆる場面で、そのブレンドの具合いによって、自分を様々にコントロール可能になるだろうと思った。 何かを成し遂げたいと思ったとき、この考え方はきっと味方になってくれる。

イベントの趣旨でもある、視聴する人に対して「さらなる高み」をもたらす内容であったことに感謝したい。 


イベントの終盤に、今の日本の女子サッカーにはこんなに素敵な人がいるんだぞ!!!と世界に向かって叫びたい気持ちになった。

確かに、今の日本の女子サッカーは、昨年のフランスW杯で盛り上がったような、世界の女子サッカーの潮流からは外れているかもしれない。

この日のイベント前日に、2011年ドイツW杯の日本対アメリカの決勝戦(なでしこジャパンの優勝決定戦)を久しぶりに観戦できたのは運命だった。私は、以前から、今、日本が世界の潮流から外れているのは、あのときのなでしこジャパン=女子サッカーが全身全霊をかけて東日本大震災で傷ついた日本を受け止め、その勝利で癒やしてくれたことに起因していると感じている。

日本の女子サッカーは、あのときからずっと、次の繁栄に向けての物語再生の途上にあるのだ。
震災の傷がいまだに完全には癒えていないように、女子サッカーの再生にももう少し時間が必要なのかもしれない。

でも、私はその再生を心から信じている。
女子サッカーが再び日本の支えとなる存在になってくれることも、私は大真面目に信じている。

今の時点ですでにこれだけ素晴らしい人材がいるという事実が、その希望に大いに栄養を与えてくれたことが本当に嬉しかった。

登壇者のお三方と、司会の方、そしてこの企画と運営に携わってくださった皆さま、ありがとうございました。


最後に、素敵だったと思った、登壇者のお三方のメッセージ付きのツイートを引用しておく。

今回のイベント内容についての詳細は、参加した方々の特権としたいと思い、具体的な部分、細部の共有はせずにおくが、こうした記事化をご許可いただいたことにも感謝を。

なでしこ日和

女子サッカーの周りをうろうろ。 wander around women's football.

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